山内竧物語PART1
山内竧物語
PART1

第八章:紡

気がつけば30年・・・税理士法人設立へ

いつも心に引っ掛かっていた景色。沖縄市にあるコザ中学校前の坂を下っていくと、税理士になって初めて構えた事務所の建物が残っています。ここを通るたび駆け出しの頃の自分を思いだします。 数度の事務所移転や失敗・成功また失敗と繰り返しても、何度も立ち上がってこられた、「どうしてだろう?」自分にも分らないこの闘志。 初めて事務所を開いた時も何もないところから始めたのだから、事務所が大きいとか小さいとか問題ではない、今お客様のために自分は役立っているか?ということが頭の中をよぎります。

いつか誰かに尋ねられたことがあります。「税理士に向いていると思うか?」改めて考えたこともなかった質問に、しばし沈黙でした。そしてこう答えました。「税理士の仕事は答えがないから楽しんですよ」と。 お客様の立場になって、共にトコトン考えて追求するその先に税務の醍醐味があると思っています。同じ事例はなく、常に新しい問題や課題が己を成長させてくれました。  その考えや姿勢を、一緒に働く社員も共有して欲しいと願っています。己の成長は自己の力だけでなく、お客様の為に役立ったときに培われると思うからです。

これまでに出版した「初版・相続税の実際」は内容が難しくてなかなか分からない・・・と耳の痛いお言葉を肝に銘じ、3冊目となる本「ズバリ!沖縄の人のための相続・贈与」を平成22年出版しました。思い立ったらスグにやらないと落ち着かない性分ゆえ、日夜コツコツ、ワープロに向かい奮闘すること5か月、こうして本は完成しました。出版してから2年以上経過しても、有難いことに反響高く、全島から相談に来られます。相続だけでなく相談は多岐に渡ります。まだまだ私が役立つと俄然勇気とヤル気が湧きます。褒められるとますます頑張る私・・・(笑)

振り向けば人生を折り返し後半戦に向かって走りだしています。大事な顧問先、信頼してついてきてくれた社員、家族、大切な方たちの為に、永続的に仕事が出来る環境が必要だと強く感じるようになりました。「もっといい仕事をしよう!」平成24年7月 30年間の個人事業から税理士法人になりました。
税理士法人設立と共に、北谷事務所を開設し、事務所の機動力も格段に良くなり、来所して相談されるお客様が増えました。地域密着という言葉を肌で感じる日々です。

夢を紡いで ~ダイヤモンドの輝き~

顧客相談カードを綴るファイルが一杯になり、改めて税務やその関連の相談の多さに驚いています。 複雑な案件に社員がお手上げすると、「同じ案件など一つもないぞ。ここから学ばなければ、君も成長しないぞ。一生懸命取り組むことで君も成長するんだよ。」と叱咤激励しながら、判例や通達を調べたり、議論したりと社内も活気づいています。
北谷事務所も軌道にのり、今度は私が事務所を始めた最初の地・沖縄市に事務所を構えることにしました。あの頃はまだ青二才で十分にお客様の為に役立っていなかったのではないか?原点を見つめ直し、これまでの経験や知識を生かし「お客様の発展ために役立つ」ことが使命だと思ったからです。

創業間もない頃に、大海原に繰り出していった先人達の勇気と知恵を見習い「沖縄の風」を起こしたいと孤軍奮闘した時期もありました。その変わらぬ意思がまだ心に熱く残っています。今こそ出来る!船出の時です!
人材育成をし、優秀な人材が沖縄のために活躍出来る仕事の場をつくり、金融や経済面で情報が立ち遅れている面をカバーできるビジネスの創造をし、沖縄アイデンティティーを認め、誇れる仕事を仲間と共に築いていきたいと強く思っています。県内外に散らばった沖縄の優秀な人材を募り、力を出し合える税理士法人にしたいのです。

エンディングノートと家系

事務所が三か所になっても、私は愛車と共に北へ南へとフットワーク軽く仕事をこなしています。「大変ですね」とよく人から聞かれますが、当の本人はいたって平気です。なぜなら仕事だからです。仕事を有難く思い、無邪気だからなのでしょうか。移動の愛車の中で英語トレーニングCDを聞いたり、ラジオを聴いたり、気分転換しながらうまく時間を過ごすのが得意です(笑)。ある日ラジオを聴いているとパーソナリティが「沖縄版のエンディングノートがあったらいいですね。」と話していました。何気なく聞いたこの言葉、「沖縄版エンディングノートを書くなら私しかいないでしょう!(笑)」とすぐに良い方に解釈する私です。

日頃からもめている相続人同士を見ていて感じてきたことがあります。目の前の見える財産に心を奪われてしまい、親や先祖が築いて守ってくれたからこそ相続できる感謝の心を忘れてはいまいか。ということです。

エンディングノートと家系

家系を知り、祖先に感謝して自分自身を見つめることで、エンディングを考えるというコンセプトを元にエンディングノートは完成しました。またしてもオリジナル要素満載で、原稿執筆は日夜ワープロに向かい、校正は社員手分けして取組、表紙は私の出身地の「読谷山花織」の図柄をあしらいました。作品としても味わい深いものになりました。何か新しい事を造りだしていく時のエネルギーは、わくわく感もあって執筆の疲れが吹き飛んでしまいます。「出来た!」小躍りしそうなほど嬉しい瞬間です。

近い未来に構想を膨らませ、勉強している時がとても好きな時間です。通りがかりの喫茶店で、調整時間に専門書や本を読むと新しいアイデアやビジネススキームがひらめいてきます。社内のデスクでひらめかないのか不思議(笑)です。白髪がチラホラ出てきたシニア世代ですが(笑)、進化しつづける私に立ち止まる暇などありません。無邪気に進化中です。

そして今、新しい税務対策を仕掛り中です。集中して勉強したり、提携先を探したりいつも新しい事にチャレンジすることは、私自身を奮起させてくれます。仕事とは本当に有難いものです。

事務所が三か所になることを機会に、法人名を「税理士法人ダイヤモンド経営」に変更しました。
走り続けた税理士人生も一人ではなく、常にお客様や社員と共にありました。私だけの人生でなく、皆の人生の夢を紡いでいく組織として、一人一人は小さな輝きかもしれませんが、集まって大きな輝きを放つダイヤモンドのようにとの願いを込めました。