第四章

社員が辞めていくことを恐れるよりも、組織が活性化しないことが怖い。マンネリで昔からの仕事スタイルのまま行うことが致命的だ。窯のゆでカエルになってはいけないと自分自身に言い聞かせている。

だから変革を求めて辞める社員を応援して留めたりしない。税理士になって独立する社員たちに顧問先をそのまま彼らが継続し順調に歩んで欲しいと支援する。税理士資格を目前で足踏みしている社員を、大学院に行きなさいと、背中を押してあげる。共に仕事をしてきたからこそ、彼らにも次のステージで輝いて欲しいと願っている。 そして自分自身もチャレンジしながら仕事に邁進したい。

チャレンジの一つに新しいジャンルの業界からの人材採用がある。 クラウドやIOT、技術の進歩に合わせてビジネススタイルも大きな変化を迫られてきた。簿記会計や資産税の知識が長けていなくても、一定の仕事がこなせるようになった。逆に求める社員像は人間力というのだろうか、伸びしろがあり、何色にも染まっていない、素直な人材だ。何より前向きに仕事に向かう姿勢が必要だと思う。

昨年まで日本語学校で教師をしていた者やブライダル業界で永年、ウェディングドレスの仕入れを担当していた者などなど、これまで会計業界とは無縁と思われていた人材も教育と実務の訓練でこちらも驚くほど成長してくれる。手綱を締めたり緩めたりしながら、若い社員たちを叱咤激励して共に仕事をこなす毎日だ。



夢と勇気を道連れに

経験の無さから失敗もある、けれどそんな時は失敗も大事、経験も大事だが、目の前にある仕事に一生懸命取り組むことが大事だと口酸っぱく言う。 「謙虚に仕事があることに感謝しよう。目の前の課題は生きた事例なんだ。今、 学ばないでいつ学ぶのだ?」「今でしょう」と、自分でツッコミながら(笑)、真剣に若い彼らに問うている。
机一面に広がった資料を前に、ベテランも若い社員も意見を出し合い、一つ一つ問題点を調べる。その結果がお客様の為になることに繋がる。

昨年から書き始めた自身5冊目となる出版本「相続」の原稿もやっと手を離れ、印刷会社に渡したゲラ刷りを楽しみに待っている。そして今、薄いノートブックパソコンとスマホでインターネットを繋ぎ、カフェでこれからお会いするお客様の業界情報を下調べしながら説明資料を作成している訳だが、IOTなる技術は私の仕事も変化させてくれている。時代の変化を恐れることなく勇気を出して漕ぎ出そうとワクワクだ。 初めからベテランなんていない。謙虚に丁寧に仕事をすればおのずと仕事が成長させてくれる。若い世代と夢を紡いでここだけにしかないダイヤモンドを輝かそう。



お客様と一緒に働く社員へ感謝を込めて
~ 終 ~




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